「月々の支払いが今の家賃よりも安くなる!」「支払総額が減る!」と書かれた不動産のチラシをよく見かけます。たしかに支払額が今の家賃よりも安くなるなら、早く購入したほうがいいのではないかと焦ってしまいます。

しかし、住宅購入に掛かる費用は、ローンの返済金だけではありません。
今回は、新築物件を購入する際に必要となる初期費用についてまとめました。

住宅の購入にかかる費用

★税金

  • 不動産取得税:不動産の価格(課税標準)×4%(2021年3月31日までに取得した土地と住宅用家屋については3%の軽減措置あり)
  • 登録免許税:
  1. 土地の所有権移転登記:0.4%
  2. 建物の所有権保存登記:2%
  3. 抵当権設定登記:0.4%
  • 消費税:不動産仲介サービスに対して10%
  • 印紙税:契約金額により変動(1,000万円~5,000万円の場合2万円)
  • 固定資産税清算金:物件の立地や購入時期により金額が変動

★保険料
火災保険料

★手数料

  • 司法書士手数料:司法書士手数料約10万円~15万円
  • 仲介手数料:約3%

★その他

  • 家具家電購入費用
  • 照明・カーテン取り付け費用
  • 引っ越し費用

新築の家にはカーテンレールや照明器具、エアコン等の設備がありません。他にも家電家具の購入や、必要であれば工事を依頼をする必要があります。

住宅ローン借入にかかる費用

  • 頭金
  • 保証料:約2%(銀行によっては無料の場合もあり)
  • 事務手数料:約3~5万円または約2%(銀行によって異なる)
  • 契約印紙代:契約金額により変動(1,000万円~5,000万円の場合2万円)

このように借入金額・金利だけではなく、様々な費用が発生することがわかります。

住宅購入前に確認すること

焦って購入した結果、貯蓄を使い果たしてしまったり、住宅を手に入れたために家計が苦しくなってしまったのでは本末転倒です。そこで住宅購入を考える前に、しっかり理解しておきたいポイントは3点です。

  1. 現在の貯蓄金額を把握する
  2. 実際に使える貯蓄金額を把握する
  3. 両親から住宅購入資金を援助してもらえるか確認する

両親から受託購入資金を援助してもらう際に「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」を利用する場合は、令和3年12月31日までが期限となっています。また、物件の面積や住み始める時期などには、以下のような条件があります。購入したい住宅が対象になるかどうかを確認しましょう。

(1) 新築又は取得の場合の要件
イ 新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
ロ 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。
1 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
1 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
(注) 耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいいます。
1 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの
1 上記1及び1のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの

引用元:国税庁HP No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

ライフプランニングのおすすめ

「貯蓄が〇〇万円貯まったら購入しようかな?〇〇万円の貯蓄はいつ貯まるのかな?」

ライフプランニングをすることで、大まかな目安をつけることができます。ご自身の経済状況を把握することが非常に大切です。

今すぐに購入したほうが月々の支払いが安くなるかどうかは、初期費用を払った後の話。さらに購入後も固定資産税や修繕積立金なども発生します。

家計状況により、住宅購入が必ずしも負担を減らす手段ではないことがお分かりいただけたかと思います。月々の出費を軽減したいのであれば、家計全体のことをじっくり考える必要がありますね。

また、他に住宅取得の方法がないかを考えてみる。もしくは、生活スタイルによっては、購入しないという選択肢もあり得ると思います。

この機会にご自身のライフプランを見直してみてはいかがでしょうか。