多くのクリニックが加入する医師国保。
民間企業で働く方たちが加入する健康保険組合とは貰えるお金が違うケースがあるにも関わらず、実はどんな保険かよくご存じない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、今クリニックに勤務している方、今後クリニック勤務を視野にしている方に向け、医師国保のメリット・デメリットについて説明します。
医師国保とは?
「国民皆保険制度」に基づき、日本国民は全員健康保険に加入する必要があります。その保険組合の内の一つが「医師国民健康保険組合組合(医師国保)」です。
加入対象者は、常勤の従業員が5人未満の個人経営のクリニック事業主とその従業員、地区の医師会もしくは大学医師会に所属する医師とその家族になります。
※なお従業員が5人以上の場合、従業員全員が医師国保を喪失し社会保険の強制適用となりますが、一部例外があります。詳細は各医師国民健康保険のサイトをご確認ください。
医師国保のメリット
事業主側からすると、医師国保は健康保険組合のような保険料の折半負担ではないため、「保険料の負担義務が無い」というメリットがあります。
また、従業員にとっても「出産・死亡一時金で受け取れる金額が多い場合がある」というメリットがあります。
ただ、従業員の中には金銭的に損をしてしまう場合があります。
それは、どういったケースでしょうか。
医師国保のデメリット
1.被扶養者が多い方
医師国保は健康保険組合と違い、扶養という概念がありません。そのため、被扶養者自身にも保険料がかかります。被扶養者が多ければ多いほど、支払う保険料が高くなります。
2.出産を控えている方
健康保険組合に加入していると、出産日以前42日から出産日後56日までの間、欠勤1日について、健康保険から賃金の3分の2相当額が出産手当金として支給されます。
また、産前・産後休業期間・育児休業期間中は、厚生年金・健康保険料が免除されます。
しかし医師国保の場合、出産手当金の支給、そして産休・育休中の社会保険料の免除制度がありません。
3.勤務先で診察、治療を受けたい方
勤務先の病院で診察、または治療すると、医療保険が適用されず全額自己負担になります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
同世帯に医師国保に加入している人がいる場合、同世帯の市町村国保加入者は医師国保に変更する必要があります。医師国保のメリット・デメリットをあらかじめ理解しておくことで、思わぬ負担を避けることができます。