相続財産に空き家が含まれている場合、どのように活用や処分するか、多くの人が悩む問題ではないでしょうか。遠方に住んでいたり、別に世帯を持っている方であれば、住むという選択肢以外を検討することになります。しかし、空き家は放置している時間が長くなればなるほど、さまざまなトラブルが発生します。
この記事では、空き家を放置することでおこるトラブルやリスク、その解決策として空き家の活用法について解説します。
空き家を放置するとどうなる?
空き家を相続したまま適切に管理せずに放置していると、さまざまなリスクやデメリットが発生します。その影響は以下のとおりです。
資産価値の低下
空き家を長期間放置すると、建物の劣化が進み、資産価値が大きく低下します。屋根や外壁の劣化、カビの発生、シロアリによる被害などがその原因です。このような状態になってしまうと、将来的に売却や賃貸をする際に大幅に価値が下がる可能性があります。
固定資産税の増加
土地や建物を所有していると固定資産税などの税金がかかります。通常、住宅やマンションなど居住建物の土地は「住宅用地」として、以下のような固定資産税の軽減措置の特例が設けられています。
種類 | 小規模住宅用地(200㎡以下) | 一般住宅用地(200㎡超) |
---|---|---|
固定資産税 | 課税標準の6分の1に減額 | 課税標準の3分の1に減額 |
都市計画税 | 課税標準の3分の1に減額 | 課税標準の3分の2に減額 |
しかし、「空き家等対策推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」に基づき勧告を受けた特定空家や管理不全空家の敷地については、この軽減措置の適用を受けることができなくなります。
近隣トラブルのリスク
管理されていない空き家は、雑草が生い茂ったり、ゴミが不法投棄されやすくなったり、害虫やネズミが発生するなど、周囲の環境に悪影響を及ぼします。これにより、近隣住民とのトラブルが発生することがあります。
また、建物の劣化が進むと、地震や強風などによる倒壊のリスクが増大します。建物が倒壊した場合、隣接する建物や道路に被害を与え、損害賠償を問われる可能性があります。
罰則が適用されたり、強制撤去の可能性がある
「空き家等対策推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」では、市区町村から特定空き家と認められ、助言や指導、勧告や命令に従わない場合は50万円以下の過料に処される場合があります。
空き家の活用方法
上述したような、さまざまなリスクやトラブルを回避するためには、空き家をどのように活用すれば良いのでしょうか。空き家の活用は、以下のようなものが考えられます。詳しく見ていきましょう。
売却する
不要な空き家は早めに売却を検討することも1つの方法です。保有しているだけで税金がかかることや、放置している空き家は劣化が早く進むことから、早めに決断することで維持にかかる出費を抑えることができます。
売却方法には、不動産会社などに仲介を依頼し購入者を探す方法と、不動産会社に直接空き家を買い取ってもらう方法があります。一般的に、仲介を依頼する場合は売却に時間はかかりますが、売却益を多く出すことが期待できます。一方、不動産会社に買い取ってもらう場合は、売却益は少なくなる傾向にありますが、売却に時間がかからないため、早く空き家を手放したい人には適した方法といえるでしょう。
また、相続した空き家を相続から3年後の年の12月末までに売却すると、譲渡所得から3,000万円までが控除される特例措置を受けることができます。ただし、この特例措置を受けるためには、1981年5月31日以前に建築された家屋であるなど、一定の要件を満たす必要があります。
除却(解体)する
空き家を解体して更地にしてから売却や活用をするという方法もあります。更地にアパートを建てたり、駐車場にして収入を得たりとさまざまな活用方法が考えられます。
ただし、解体費用が数十万円〜数百万円かかることや、住宅用地にかかる固定資産税の特例措置を受けられなくなり、固定資産税が上がってしまうなどのデメリットがあります。また、古民家など古い建物だからこそ需要があるという場合もあります。解体を選択する前に専門家に相談し、さまざまな活用方法を検討してみるとよいでしょう。
空き家を活用する
思い出のある家の場合、空き家を手放したくないという人もいるでしょう。その場合は、賃貸や民泊、シェアオフィスなどで活用する方法もあります。空き家を放置せず活用することで、下記のようなメリットが考えられます。
- 毎月家賃収入が得られる。
- 人が利用することで、空き家の維持や管理をする手間が軽減される。
- リノベーションなどで空き家の資産価値が向上する。
ただし、空き家を活用する場合、修繕やリフォームなど初期費用がかかる点に注意が必要です。自治体によっては、空き家の活用を促進するために、改修や家財道具の処分などの補助金制度を用意しているところもあります。空き家を活用したいと考えている方は、自治体やNPO法人など空き家サポートをしている団体へまずは相談してみると良いでしょう。
まとめ
空き家を放置した場合のデメリットやリスク、空き家の活用法について解説しました。適切に管理されず放置された空き家は劣化が早く、さまざまなデメリットやリスクをもたらします。空き家を相続した場合は、所有するか手放すかをまず決めることが重要です。所有する場合は、適切に管理を行いながら今後どのように活用していくのか、また手放す場合は、売却や解体など方針を早めに決めましょう。