家計簿をつけようと意気込むものの、「項目をどう分ければいいのかわからない」「細かすぎて続かない…」などと悩む方は少なくありません。

とくに共働きや子育て世帯では、日々の忙しさから入力が負担になり、三日坊主で終わってしまうケースもよくあります。(筆者もそのひとりです……)

家計簿継続を左右するカギのひとつに「項目の決め方」が挙げられます。家計簿の項目は、「家計簿をつける目的」から逆算し、「自分軸」で決めることが大切です。

この記事では、家計簿の基本項目から、自分に合った項目設定の方法、家計簿を続けやすくするためのコツまで、FPの視点で解説していきます。

「家計簿が続かない」とお悩みの方にとってお役に立てれば幸いです。

家計簿の基本項目とは?まず押さえたい大分類

まずは、多くの家庭に共通する「基本の大分類」を押さえることから始めましょう。

家計簿でよく使われる代表的な項目一覧

実際に家計簿でよく使われる代表的な項目をまとめると、次のようになります。

固定費住居費家賃、住宅ローン、管理費など
水道光熱費電気・ガス・水道
保険料生命保険、医療保険、損害保険など
通信費スマホ代、インターネット代、サブスク通信関連
変動費食費自炊・外食・飲み物代など
日用品費消耗品、雑貨など
被服・美容費洋服や靴、化粧品、美容院代など
医療費通院や入院、予防接種など
教育費授業料、塾、習い事、学用品など
交通費・車関連費定期券、ガソリン、駐車場、車検など
娯楽・交際費旅行、趣味、外食、プレゼントなど
特別費突発的な出費

固定費と変動費に分けるのが基本

家計簿の項目を考えるときに意識したいのが、「固定費」と「変動費」に分けることです。
固定費とは、毎月ほぼ一定で発生する支出のこと。家賃や住宅ローン、水道光熱費、通信費、保険料などが代表例です。家計に占める割合が比較的大きく、毎月必ず発生するため、家計全体の安定性を左右する項目ともいえます。

一方、変動費は月によって増減する支出です。食費、日用品費、教育関連費、交通費、娯楽・交際費などがこれにあたります。

変動費は固定費と比べて調整しやすいため、節約や見直しのポイントにもなります。

この「固定費/変動費」というシンプルな分け方をベースにしておくと、家計簿を続けやすくなり、どこに改善余地があるかも見つけやすくなるでしょう。

\FPのひとこと/

家計簿の項目は、多ければ多いほど正確に管理できそうに思えますが、細かすぎると仕分けが大変で続かなくなりがちです。
大切なのは、「自分や家族にとって、見直したい支出がわかること」
項目の決め方を少し工夫するだけで、家計簿はぐっと続けやすくなります。

なぜ「項目の決め方」が家計簿の続けやすさを左右するのか?

家計簿を続けられるかどうかは、意外にも「どんな項目で分類しているか」に左右されます。入力のしやすさや、支出の見やすさに直結するからです。

ここでは、よくあるつまずきポイントと、項目決めの大切さを確認してみましょう。

細かすぎると入力が面倒になり三日坊主に

たとえば「外食費」と「おやつ代」を分ける、「文房具」と「日用品」を分ける……というように、細かく分けすぎると毎日の入力が負担になり、続けるのが難しくなりやすいです。

また、細かく考えすぎると「この出費はどの項目に振り分ければいい?」と悩む原因にもなるでしょう。

家計簿は正確さよりも継続が大事。最初は大まかな分類で十分です。

逆に大まかすぎると改善点が見えない

一方で、項目を「生活費」などの大ざっぱなひとくくりにしてしまうと、どこにムダがあるのかが見えにくくなります。

「食費のなかでも外食が多いかも?」「日用品費が高いけど、そのなかで多いのは消耗品費?それとも雑費?」というような気づきを得るには、ある程度は項目を分類することも大切です。

「自分にとって見直したい支出」を把握できる項目設定がカギ

家計簿の項目を決める際は、世間一般に合わせるのではなく「自分や家族が重点的にチェックしたい支出が見える項目」を設定することが大切です。自分の軸、ご家庭の軸を第一に考えましょう。

たとえば教育費が気になる家庭は「習い事」を独立させる、食費を抑えたいなら「外食」と「自炊」を分ける、といった具合です。

自分の生活に合った分類にすることで、家計簿はぐっと“続けやすく・役立つもの”になります。

【FPが提案!】自分に合った家計簿項目の決め方とは?

家計簿の項目に、正解はありません。大切なのは、「わが家の暮らしに合わせた項目」を設定することです。

ここではFPの視点から、シンプルで続けやすい項目決めのステップを紹介します。

ステップ1:家計簿をつける目的を決める

まずは「なぜ家計簿をつけたいのか」を考えることから始めましょう。

目的を明確にしないと、どのような方向性で家計簿づけをしたらよいかが曖昧になり、継続のモチベーションも下がってしまうからです。

「貯金を増やしたい」のか、はたまた「なんとなくムダがある気がしていて家計の全体像を把握したい」のか……。他にも、ご家庭によってさまざまな事情があると思います。

家計簿づけの目的を明確にすることで、自分の家計にとって必要な項目も自然と見えてくるでしょう。

ステップ2:必要な家計簿項目を挙げてみる

家計簿づけの目的が決まったら、実際に自分の生活でよく使う支出を思い浮かべて、項目を挙げてみましょう。

たとえば、食費・住居費・日用品費・教育費・交通費など、基本的な項目だけでも十分です。最初から細かくしすぎる必要はありません。

「これなら入力できそう」と思える範囲で、まずは始めてみるのが続けやすさのコツです。

ステップ3:固定費と変動費に分けて整理する

次に、項目を「固定費」と「変動費」に整理すると、改善ポイントが見えやすくなります。

  • 固定費(例:住居費・保険料・通信費など)→ 一度見直せば効果が継続しやすい
  • 変動費(例:食費・日用品・娯楽費など)→ 毎月調整しやすい

この視点を取り入れることで、「どこから改善すべきか」がはっきりしてくるでしょう。

ステップ4:目的に応じてカスタマイズする

最後に、家計簿づけの目的に合わせて項目を調整しましょう。

  • 貯蓄+投資で資産形成をしたい → 「貯蓄」「投資」を分ける
  • 食費を抑えたい → 「外食」と「自炊」を分ける
  • 教育費が気になる → 「授業料」「習い事」「学用品」に分ける
  • 子どもの費用をまとめたい → 「子ども費」として独立させる

目的は、各家庭で変わってくるものなので、他にもさまざまなカスタマイズ案があると思います。

このように「自分にとって改善したい支出」が見える形にすれば、家計簿が続けやすくなり、家計改善に役立つツールとして活用しやすくなります。

項目の決め方は、細かく正確にすることよりも「続けやすさ」と「目的に合っていること」が何より大切です。無理に一般的なルールに合わせる必要はありません。自分や家族の暮らしに合わせて、自信を持って決めましょう。

\FPのひとこと/

6人家族の筆者の場合、子どもにかかる費用が気になる時期なので、最近家計簿の項目に「子ども費」を加えました。さらに高校受験を控える長男の塾代は、項目を独立させて「塾代」に統一。子育て期の家計を上手に見える化し、工夫しながら家計のコントロールをがんばっています。

一方で、住宅ローンと水道光熱費はまとめて「住居費」としてしまい、「手取り収入の25~30%以内に収まればOK」と大まかに捉えています。(だいたい収まっているので、あまり気にしていない項目ともいえます)

このように、家計管理のなかでも「メリハリ」が大切です。
「わが家の場合」に当てはめて項目を設定し、無理のない範囲で家計簿づけを始めてみましょう!

家計簿を続けやすくするコツ

せっかく家計簿を始めても、途中で挫折してしまう人は少なくありません。続かない理由の多くは「手間がかかりすぎること」や「成果が見えにくいこと」です。

ここでは、無理なく家計簿を続けやすくするためのコツを紹介します。

最初からカンペキを求めすぎない

家計簿は「正確に」「きっちり」つけなければならない……!と思うと、大きな負担感が生じます。
たとえば、1円単位でピタッと合わせる必要はありません。うっかりレシートを捨ててしまうこともあると思いますが、そのようなときはだいたいの金額でもよいので、記録を残す姿勢が大切です。

また、自分のなかで基準が決まっていないうちは、項目ごとに振り分ける際に迷うこともあるでしょう。このときもあまり深く考えすぎず、とりあえずは直感で振り分けても何も問題はありません。続けるうちに自分なりのルールが自然と整ってくるはずです。

まずは無理なく記録を続けることに重きをおいてみましょう。

自分に合ったスタイルで家計簿をつける

家計簿のつけ方は、おもに手書き、パソコン、スマホアプリといった方法が挙げられます。それぞれ、人によって向き・不向きがあるので、さまざまなスタイルのなかから自分に合った方法を選ぶことも大切です。

たとえば手書きひとつをとっても、市販の家計簿を使うほうがやりやすい人もいれば、自由に項目をカスタマイズできる自作ノートが合う人もいるでしょう。アプリ派なら、キャッシュレスとの連動で項目ごとに自動で振り分けてくれる機能などを活用できると家計簿を続けやすくなりますが、連携がうまくいかないことがあるなど、一長一短です。

いろいろな方法を試しながら「自分にとって無理なく続けられるスタイル」を探すことが、家計簿を長続きさせるポイントのひとつです。

月1回の振り返りでモチベーションを保つ

家計簿をつけっぱなしにするのではなく、月に一度は振り返りをする習慣を持つとよいでしょう。

「今月はよく頑張った」「来月はここを削減してみよう」といった小さな気づきが積み重なることで、家計簿づけの目的を見失わずに続けやすくなります。

振り返りは改善点を見つけるだけでなく、達成感を味わえる機会でもあり、モチベーションを維持するための大切なステップです。

家計管理に悩んだらFPに相談してみよう!

実際に項目を決め、家計簿をつけてみると「なんとなく全体は見えるけど、具体的にどこを改善すればいいのかわからない」という壁にぶつかることがあります。

このようなときは、一人で悩まずに専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも有効な方法です。

FPサテライトでは、個人のお客様向けに家計相談サービスをご用意しております。

FPに相談するメリット

FPは、あなたの家計を「数字」だけでなく「暮らし全体」の視点から一緒に見直し、客観的な改善提案を行う存在です。

  • 自分では気づきにくい支出のクセを客観的に整理してくれる
  • 将来にかかる教育費や老後資金など、ライフプランに基づいたアドバイスがもらえる
  • 「我慢する節約」ではなく「無理のない改善策」を提案してくれる

FPサテライトの家計改善プログラム「KAERU」とは?

FPサテライトでは、家計について気軽に相談できる「KAERU」サービスをご用意しています。

家計改善プログラム「KAERU」の特徴
  • 家計簿や支出データを整理して、“どこを見直せばよいか”がわかります
    →FPが一緒に家計の状況を整理し、改善策をご提案します。
  • 改善後のライフプランをシミュレーションして、将来の安心につなげます
    →家計改善後のライフプランを作成し、長期的なメリットを可視化します。
  • ご家庭の状況や目標に合わせた提案をオンラインで受けられます
    →面談はすべてオンラインで行います。遠方の方や、小さなお子さまがいるご家庭でも気兼ねなくご相談いただけます。

FPサテライトの家計改善プログラムをご活用いただくことで、現状の家計の課題感が見える化でき、無理なく改善へとつなげるお手伝いができます。

自分ひとりで悩むよりも早く、確実に“お金の不安”を解消しませんか。

まとめ|家計簿の項目はシンプルに!「自分に合った工夫」が続けやすさのカギ

家計簿を続けるポイントは、細かく正確に管理することではなく、「シンプルで自分に合った項目」に設定することです。まずは「家計簿をつける目的」から逆算し、“わが家の家計”に合った項目をピックアップすることから始めてみましょう。

項目決めや家計改善の方向性に迷ったら、ぜひ一度FPサテライトへご相談ください。

これを機に、ご家庭に合った家計管理のスタイルを見つけてみてはいかがでしょうか。