今年、2024年の夏も厳しい暑さとなっていますが、今年の5月使用分で終了となっていた電気・ガス料金の補助が8月から3カ月間、再開されます。これにより家計負担はどのくらい軽減されるのでしょうか。
電気・ガス料金の補助とは?
ここ数年の国際的なエネルギー価格の急騰により、一般家庭の電気・ガス料金も急激に値上がりし、家計負担は重いものになっています。このため、政府は負担軽減策として「電気・ガス価格激変緩和対策」を実施。2023年1月使用分から、月々の電気・ガス料金から使用量に応じた値引きが行われてきました。
しかしこの施策は2024年5月使用分で終了となっており、その後の負担増に懸念の声があがっていたところ、8月から10月の使用分について、「酷暑乗り切り緊急支援」として再び軽減策がとられることになりました。
家計負担はどのくらい軽減されるの?
経済産業省によると、この「酷暑乗り切り緊急支援」で電気・ガス料金は次のとおり値引きされます。
出典:経済産業省ウェブサイト(https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/business/)
では、実際に家計負担はどのくらい軽減されるのでしょうか?一般家庭の平均的なエネルギー消費量をもとに計算してみましょう。
環境省の調査によると、2022年度の世帯当たりの年間エネルギー消費量は、電気が3,950kWh、都市ガスが187㎥でした。季節や地域によってエネルギー消費量は異なりますが、これを単純に12で割って、1か月当たりの消費量を算出すると、電気は約329 kWh、ガスは約16㎥となります。
ここから値引き金額を計算すると、一般家庭(低圧電力)の8月・9月の電気料金は1,316円、ガス料金は280円、10月の電気料金は823円、ガス料金は160円の値引きとなります。
8月・9月はエアコンなどの使用により電気の使用量が増える傾向にあるため、電気料金の値引き金額はこれよりも増えるかもしれません。
経済産業省のウェブサイトでは、電気やガスの使用量を入力すれば月々の値引き金額の目安を算出できますので、気になる人は活用してみましょう。
補助が反映されるのは9月請求分から
ここで注意しておきたいのは、電気料金やガス料金の支払いは実際の使用から1~2か月遅れるということです。
電気・ガスの事業者は毎月1回、電気・ガスメーターを「検針」して使用量を確定し、料金を請求します。検針日は事業者によって異なるものの、検針日までの約1か月の使用量に基づいた料金が請求されますので、使用月の翌月に請求されることが一般的です。
そして、請求された料金を実際に支払う時期は、支払い方法(クレジットカード決済、口座振替など)によってはさらに1か月近く後になることもあります。
このため、今回の補助が反映されるのは9月請求分からとなります。8月に請求・支払いがあるのは6月もしくは7月使用分です。6月・7月は補助がないことから電気・ガス料金の大幅アップが予想されますので、ご注意ください。
今後の施策も注視していこう
物価高騰が続くなか、8月から電気・ガス料金の補助が再開されることに一安心している人もいるのではないでしょうか。ただしこの補助も、いまのところは3か月限定で、11月以降はなくなってしまいます。
このところの物価高を受けて、家計負担を軽減しようと政府はさまざまな施策を打ち出しています。どれも場当たり的な感が否めず、物価上昇に対する不安はなかなかぬぐえませんが、今後の動向も注視していきましょう。