ペットとの生活は、私たちの日常を豊かにしてくれますよね。私自身もながく猫と暮らしてきました。

ですが当然、ペットの飼育にはお金がかかります。
万が一、お金がない状態でペットを飼育してしまったとき、どのようなことが起こりうるのでしょうか。

お金が原因で起こるペットの飼育トラブル

内閣府が平成22年9月に実施した「動物愛護に関する世論調査」では、ペットに対する意識や行動のアンケート結果が公表されています。

参考:「動物愛護に関する世論調査」(内閣府)
https://www.env.go.jp/council/14animal/y143-06/ref01.pdf 平成22年9月実施

この中で「お金がないから」という回答があった項目に着目し、その結果どのようなトラブルが起きるのかを考えてみました。

お金がないから所有者明示をしない

所有者明示とは、飼い主の連絡先がわかる状態にすることです。

つまり、所有者明示をしないことは飼い主としての責任を取らないことでもあります。

お金がなく所有者明示をしないことは、もしペットが病気になったり、他人に危害を加えてしまったときにお世話ができない、ということなのかもしれません。

お金がないから去勢・不妊手術をしない

繁殖を防ぐための去勢・不妊手術にはお金がかかります。

一匹につき数万円かかることは、家計にとって大きな負担に感じられるかもしれません。

ですが、とくに猫の多頭飼いで去勢・不妊手術をしなかった結果、どんどん繁殖してしまい、お世話できなくなってしまった例も少なくありません。

ペットの飼い主が知っておきたい法律

ペットを飼う前の心得として、以下の原則があります。

家庭動物等を飼養しようとする者は、飼養に先立って、当該家庭動物等の生態、習性及び生理に関する知識の習得に努めるとともに、将来にわたる飼養の可能性について、住宅環境及び家族構成の変化や飼養する動物の寿命等も考慮に入れ、慎重に判断するなど、終生飼養の責務を果たす上で支障が生じないよう努めること。

出典:「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」(環境省)https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_r02_21_1.pdf

ペットの飼育は一時的なものではなく、ペットが亡くなるまでの長い期間、責任が伴います。

それでは、お金をかけられず所有者明示、去勢・不妊手術を放棄するとどうなるのでしょうか。

所有者明示をしないとどうなる?

犬を飼育する場合は、義務を怠ると狂犬病予防法違反となり、20万円以下の罰金に処せられます。

犬を飼っているお家の玄関に貼られている「犬」というシール(鑑札)は、犬の飼育を市町村に登録した証としてもらえるものです。

参考までに、狂犬病予防法などの法律により義務付けられている点は、以下三項目です。

(1) 現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること
(2) 飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること
(3) 犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着すること

出典:厚生労働省ホームページ 「犬の鑑札、注射済票について|厚生労働省HP」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/10.html

去勢・不妊手術をしないとどうなる?

繁殖を望まないにもかかわらず去勢・不妊手術を行わない場合、以下のようなトラブルが起きかねません。

  • 多頭飼育崩壊
  • 発情期に起きる様々なトラブル

多頭飼育崩壊を起こし、動物を劣悪な環境に放棄した場合は、動物を虐待したとして罰金刑に処される場合があります。

参考:「動物の愛護及び管理に関する法律」第六章 罰則(e-Gov)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=348AC1000000105

また一匹しか飼っていない場合でも、動物によっては発情期に体調を崩したり、大きな鳴き声を出したりと様々なトラブルがあります。

ペットとの生活のためのお金

一生涯責任が伴うペットの飼育は、お金に余裕がないと難しいようにも感じられます。

それでも、いつかペットと幸せに暮らしたい、と考えている方にご提案できる方法が2つあります。

1.事前に飼育資金を確保する

事前にまとまったお金をしっかり蓄えておくことで、飼育後の家計への影響をおさえることができます。

ペットの飼育費用は、ペット保険のサイト等で平均額が公表されており、ある程度は予測することができます。

わが家でも飼育前にあらかじめ資金を確保したうえで、保護猫を飼い始めました。
準備した金額は、猫が20年生きると仮定して約50万円です。

内訳は、

  • 譲渡費用 5万円
  • ワクチン代 10万円(5,000円×20年)
  • 避妊手術 5万円
  • 日常にかかる費用(餌代・トイレ用品など) 20万円(月10,000円×20年)
  • 予備費 10万円

もちろん、かかるお金はこれだけではありません。年を取って病気にかかり、さらにお金が必要になることも考えられます。

ご自身の収入と支出をこまめに把握し、ペットとの生活を組み入れたライフプランを考えていきたいですね。

2.自治体の補助金を利用する

去勢・不妊手術は費用がかかります。

ですが、手術をすることで避けられるリスクも多く、去勢・不妊手術はペットのためにも、飼い主のためにも必要な過程となります。

また所有者明示の方法のひとつにマイクロチップの装着があります。

去勢・不妊手術、マイクロチップの装着は地域によって、補助金が出るケースがあります。
一度お住まいの地域の取り組みを調べてみてはいかがでしょうか。

ペットと幸せな時間を過ごすためにも、普段から適切なお金の使い方を心がけましょう。