海外旅行が身近になった現在、外貨も私達の生活に大分身近な存在になりました。
ですが、こんな疑問や不安を持ったことはありませんか?

「身近になった外貨を使って、思い切って外貨預金を初めてみたい!」
「保険会社に勧められて外貨建ての保険を契約したが、実際受取する時にどのように活用するかを今から考えておきたい。」
「外貨って円安の時に円にするだけ?円高の時は何もできないのか?」

そんな皆様に、外貨預金の活用方法をご案内していきます。

外貨預金とは?

外貨預金とは、一般的に外貨建の預金のことです。
代表的なものだと、米ドルやユーロ・豪ドルなどがあげられます。
皆さんが円を銀行に預金するように、持っている外貨を銀行に預けることを外貨預金といいます。

外貨預金のメリット

メリット1:金利が高い

現在日本はとても金利が低い国となっています。
現在多くの銀行で円預金に適用されている金利は大半が0.001%程度となっており、ほぼ利息が付かないに等しいものとなっています。

しかし、海外には金利が高い国が存在しています。
外貨預金はその金利が高い国の通貨で預金をして、資産を増やしていくというものです。

馴染みのある米ドルと日本円を比較してみましょう。

普通預金 定期預金(1年)
日本円 0.001% 0.02%
米ドル 0.25.% 1.8%

※住信SBIネット銀行預金金利参考 ※令和元年12月30日時点

このように、円と米ドルで金利が大きく違っています。

例えば日本円で100万円を1年間定期預金に預けた場合

100万円×0.02%=200円 税引前200円
200円×20.315%=40.63円
200円-40円=160円 税引後160円

外貨定期預金を100万円分預け入れたとします。
1ドル=100円とした場合、100万円÷100円=1万ドルとなります。

1万ドル×1.8%=180ドル
180ドル×100円=18,000円 税引前18,000円

180ドル×20.315%=36.567ドル
180ドル-36ドル=144ドル
144ドル×100円=14,400円 税引後14,400円
※例題の為為替変動は考慮しないものとします

円と外貨で定期預金にした場合、税引後で14,400円-160円=14,240円程の差がでます。
長い年月資産を預け入れした場合、この金利差が大きく利息に影響を与えます。

メリット2:インフレ対策に有効

インフレとはモノの値段が上がり続ける状態のことですが、違う視点から見ると「お金の価値が下がる」ことです。

今ある資産をそのまま円で保有し続け円の価値が下がった場合、実際には資産が数字的に減ったわけではないが価値が目減りしたことになります。
何もしていないのに円の資産が目減りする。しかし、外貨を保有することによって、海外の高い金利の恩恵を受けて預金でき、かつ為替差益を狙うことが可能です。
その為、インフレリスクを回避するのに、日本円以外の外貨で預金を持つことが有効な手段となります。

例えば米ドルを1ドル80円の時に100万円分購入した場合、1万2500ドルを保有することになります。
約10年後に円安になり、1ドル120円になった時に円に戻した場合、150万円になり、50万の利益となります。

もちろん逆に円高が進み、大きくマイナスになる可能性もあります。
リスクもありますが、自身の資産を時代の流れに合わせて価値を変動させ、資産価値を高めることも可能となるので、リスクを理解した上でチャレンジするのも有効です。

外貨預金のデメリット

デメリット1:為替リスクがある

メリット2でも記述いたしましたが、為替には資産が目減りするリスクがあります。

先ほどの例でいうと為替レートが1ドルあたり80円→120円にアップし、40円分の差益を得たことになります。
しかし、逆もあり得ます。
120円→80円に目減りし、40円分の差損ということで、資産が目減りするリスクもあります。

為替は変動するものと覚えておいてください。

ですが、ちんとリスクを理解し余裕資金で対応すれば、怖いことはありません。

デメリット2:預け入れ銀行選びが大切

外貨預金を始めるのにあたって、大切なのは銀行選びです。

外貨預金を扱っている銀行はとても多くあります。
なぜなら、外貨預金の手数料が銀行の収入の1つになっているためです。

「口座維持手数料」・「外貨両替手数料」・「外貨送金手数料」・「外貨受取手数料」の4つが外貨預金に掛かる手数料です。
この手数料の金額は、各銀行によってさまざまです。

金融機関を選択する際、外貨入出金や両替のしやすさという利便性も重要視したいポイントです。
金融機関によって外貨の入出金に名義人本人への口座のみという条件や、窓口でないと両替ができない、など制約がある場合があります。
その為、外貨入出金や両替のしやすさという利便性と手数料が低い銀行を選びましょう。

目安としては、

  1. 「口座維持手数料」=無料の所を探しましょう
  2. 「外貨両替手数料」=1ドルあたり片道4銭〜1円と幅が大きくなりがちです。
    ネット銀行系で選択すると人件費がかからない分安くなります。
    1円位と侮ってしまいがちですが、仮に1ドル=100円として、100万円分両替したとしましょう。
    100万円÷100円=1万ドル
    1万ドル×1円=1万円の手数料となります。
    4銭の場合は1万ドル×0.04=400円の手数料となります。その差額が9600円も片道でだけで変わってくるので、要注意です。 
  3. 「外貨送金手数料」
  4. 「外貨受取手数料」
    3
    と4は一回あたり数千円というのが相場です。
    銀行によっては、他人の口座宛には送金できない銀行などもありますので使用する際は手数料だけではなく、どのように資金の移動や使用ができるのかを確認しましょう。

デメリット3:ペイオフの対象外

皆さまは「ペイオフ」という単語はご存知ですか?
万が一銀行が破綻した場合に、1000万までの預金と利息まで保証してくれる、預金者を守る為の制度のことです。

外貨預金はこのペイオフの対象外となり、銀行が破綻した場合も保障されません。

実際の外貨預金活用方法

では、実際に私達の生活の中でどのように外貨預金を活用することができるかを、ご案内します。

活用方法1:定期預金に預金する

一番オーソドックスな方法です。
定期預金にしていれば、円預金に預けるより金利が高く為替レートが円安傾向になった際に、中途解約をして円に戻し為替差益を得ることも可能です。

定期預金であれば、途中で解約したとしても、解約手数料が発生したり元本が割れる心配はありません。
本来付与される予定の利息が目減りしますが、為替差益が高ければ問題ないでしょう。

活用方法2:外貨の購入を積立式にして購入レートを平均化する。

初めて外貨預金をする場合、一体いくらの為替レートで買っていくらの時に売ればいいのか、多くの方が悩まれます。

ここで案内したいのは、為替相場は変動があるので見極めるのは難しいということです。

定期的に外貨を購入して購入金額を平均化する方法があります。
「ドルコスト平均法」と呼ばれる方法です。

毎日・毎週・毎月など、決まったタイミングでご自身の決めた金額分の外貨を購入する設定にしておくだけで自動的に外貨を買付が可能です。

そのまま購入を繰り返して行くと為替相場が円安傾向の時には買付ける外貨を少なく円高傾向の時は多く外貨を購入する事が可能です。

例えば、米ドルを毎日5000円分購入する設定とします。
3/1 為替レート100円=50ドル
3/2 為替レート110円=45ドル
3/3 為替レート105円=47ドル
※小数点以下切り捨て

と3日間購入した場合、15000円÷142ドル=105円が平均となり、110円で購入した日があったとしても平均化することによって購入したレートを低くすることが可能となり、売却する際に為替差益を得やすくします。

そうして平均化したレートより円高傾向の場合は定期預金にし、円安傾向になった時は売却して為替差益を得る方法もあります。
※平均化レートを自動計算して算出してくれる銀行と、算出してくれない銀行がある為注意が必要です。

活用方法3:外貨建商品に投資する

円高になっていて外貨を売却したくない場合は、銀行から証券会社へ外貨を移動し、外貨建ての株式など投資商品にて運用するもあります。

定期預金より積極的に運用に回したい場合は、証券会社に移動させて更に資産に働いて貰うことが可能です。
ここで注意して頂きたい点は、銀行と証券会社が同じ名義でないと送金できないことがあったり、投資できる商品に制限があることです。
送金の前に利用している金融機関を確認しましょう。

活用方法4:海外で実際に使用する

円高の際の外貨預金の使用方法として、もう一つ身近なものがあります。

手持ちの外貨をそのまま使用することです。

現在デビットカードなどのキャッシュレス対応できるカードが増えてきました。

デビットカードは一般的に国際ブランドのクレジットカード会社が発行、または提携しており、海外のATMやショッピングの際に、デビットカード付帯の国際ブランドのマークがついている所なら利用することが可能です。(代表的な国際ブランドとはvisaやMasterなどを指します。)
その為、海外旅行に行った際に海外でも口座にある外貨でATMから引き出しをしたり、買い物に使用できるようになりました。

海外旅行や留学など海外で過ごす機会が多くなっている現在は、大いに活用できると思います。

外貨アレルギーを吹き飛ばす外貨預金

私も外貨と聞くと、最初は「え?難しそう。ちょっと私には無理かも」なんて思っていました。
私は海外旅行への憧れや外貨の取扱い経験が少なく、馴染みが薄かった為、保険代理店勤務の際は外貨建て商品が正直苦手でした。

しかし、現在は上記のような活用方法や金利などに注目してみるようになると思ったよりも外貨が身近な存在となり、外貨のアレルギーが無くなりました。

「知らないものは怖い」のは当然ですよね。

ただ、外貨預金のことを知らないまま「私には外貨預金は無理」と遠ざけずに、きちんと内容をご理解頂いた上で皆さんの預金等の選択肢の1つになるといいと思います。
この記事で御自身に一番合った預金方法に巡り合うお手伝いになればいいなと思います。