地震や台風、豪雨による土砂災害など、自然災害による被害は年々大きくなり、私達の生活は災害の危険と隣り合わせの状況です。

ご家庭で水や食料の備蓄、簡易トイレ等の防災グッズを準備されている方も多いのではないでしょうか。

さて、その防災グッズの中に「現金」は備えてありますか?

なぜ災害時に「現金」が大切なのか

昨今、急速に広がりをみせているキャッシュレス決済ですが、災害時に停電になると店の電子決済機能は使えなくなります。
当然ATMも使えなくなってしまいます。

復旧した後のATMや窓口は長蛇の列になるでしょう。
ATMの場合、もしかしたら自分の番が来る前に機械の中のお金がなくなってしまうかもしれません。

このような混乱した状況でも慌てないよう、数日分の生活費程度は現金で備えていた方が安心ですね。

小銭と千円札を準備しよう

携帯電話やスマートフォンが繋がりにくくなる可能性があるため、公衆電話用に小銭を準備しておくとよいでしょう。

また、災害時は現金決済になるため、店側はおつりが出せなくなることがあるようです。
その場合に備えて、お札を万単位だけでなく千円単位で準備しておくことも大切ですね。

「お金はあっても購入できない」ということにならないように気をつけましょう。

財布にも現金を持っておこう

防災グッズに現金を備えることも大切ですが、普段の財布の中にも幾らか現金を備えておくことが大切です。

万一家から離れた場所で被災した際に帰宅できるよう、交通費分プラスαは備えておきたいですね。

大規模災害時の金融機関の対応は

ここまで、当座のお金を現金で備えることが大切なことはわかりました。

では、私達の大切なお金を預けている金融機関は災害時どのような対応となるのでしょうか。

災害時における金融上の特別措置

地震や台風などの災害で大きな被害が発生した際、災害救助法が適用される地域などの被災者に対して、日本銀行は各金融機関に「金融上の特別措置」を要請しています。

具体的にどのような措置が取られるのか、「令和元年台風19号に伴う災害に対する金融上の措置」を例にとってみてみましょう。

預貯金取り扱い金融機関への要請(一部抜粋)

  • 預金証書、通帳を紛失した場合でも、災害被災者の被災状況を踏まえた確認方法をもって預金者であることを確認して払い戻しに応ずること。
  • 届出の印鑑のない場合には、拇印にて応ずること。
  • 損傷した紙幣や貨幣の引換えに応ずること。

証券会社等への要請(一部抜粋)

  • 届出の印鑑を紛失した場合でも、災害被災者の被災状況等を踏まえた確認方法をもって本人であることを確認して払戻しに応ずること。
  • 有価証券紛失の場合の再発行手続きについての協力をすること。

生命保険会社、損害保険会社及び小額短期保険業者への要請(一部抜粋)

  • 保険証券、届出印鑑等を紛失した保険契約者等については、申し出の保険契約内容が確認できれば、保険金等の請求案内を行うなど可能な限りの便宜措置を講ずること。
  • 生命保険金又は損害保険金の支払いについては、できる限り迅速に行うよう配慮すること。
  • 生命保険料又は損害保険料の払込については、契約者の被災の状況に応じて猶予期間の延長を行う等適宜の措置を講ずること。

このように、災害発生時には金融機関も被災者の状況に合わせて、柔軟に対応してくれます。例え通帳も印鑑もなく身一つで避難した場合でも、預金を引き出すことは可能です。

つまり、当座の現金を準備しておけば、大金を手元に置いておく必要はないということです。

特に災害時は空き巣などの被害も考えられる為、大金を手元に置いておくのはリスクがあります。
数ヶ月分の生活費などはすぐに引き出せる預貯金などで準備されるとよいでしょう。

まとめ

災害は、いつどこで起きるかわかりません。
キャッシュレス時代の今こそ、防災グッズや財布には「現金」を備えておきましょう。