今年の確定申告期間が始まったのを受け、確定申告の準備を進めている方もいらっしゃると思います。

一方で、企業で働いている方は年末調整を行う方が多いため、確定申告はあまり縁が無いかもしれません。
ただ中には、確定申告をしたほうが税金が多く戻ってきた、といった方もいらっしゃるかもしれません。

それは、確定申告の方が年末調整よりも控除される項目が多いからなのですが、実際にどれだけ項目が違うのでしょうか。
ここでは、確定申告と年末調整のどちらかを行えば控除できるもの、確定申告を行わないと控除できないもの、に分けて比較し、それぞれの違いを見てみようと思います。

確定申告と年末調整のどちらかを行えば控除できるもの

まずは、確定申告と年末調整のどちらかの手続きを行えば控除できる項目です。
種類が多いので大まかな分類に分けて書いていきます。

自身や家族に関わるもの

  • 基礎控除
    収入がある人全員が対象。総所得から38万円の控除ができます。
    なお、2020年以降は48万円に上がりますが、高所得者は段階的に控除額が引き下げられることになりました。
  • 扶養控除
    扶養者(合計所得が38万円以下で16歳以上の子供や家族等)がいる人が対象。
    扶養者の年齢により異なりますが、一人につき38万円から63万円の控除ができます。
  • 障害者控除
    納税者本人や家族が障害認定された場合の控除。
    障害の重度によって27万円か40万円の控除になります。
    また、重度障害の方と同居している場合は75万円の控除になります。
  • 寡婦(夫)控除
    納税者本人がシングルマザーもしくはシングルファザーの場合の控除。
    母と父で条件が異なり、父の場合は父の収入が550万円かつ子供の収入が38万円以下の場合27万円の控除ができます。
    母の場合は、子供の収入が38万円以下、もしくは母の収入が550万円以下で27万円の控除ができます。
    また、母の収入が550万円以下かつ子供の収入が38万円以下の場合は35万円の控除ができます。
  • 勤労学生控除
    本人が学生の場合の控除。合計所得が65万円未満かつ不労所得が10万円未満の場合に27万円の控除ができます。

保険に関わるもの

  • 生命保険料控除
    生命保険や個人年金保険などの支払額に応じて一定額が控除される
  • 地震保険料控除
    地震保険料の支払額に応じて一定額が控除される
  • 社会保険料控除
    その年に支払った健康保険や、国民年金保険料の支払額全額が控除される
  • 小規模企業共済等控除
    小規模企業共済の掛け金(個人事業主など)や個人型確定拠出年金の拠出額全額が控除される

配偶者に関わるもの

  • 配偶者控除・配偶者特別控除
    本人の年収および配偶者の収入が一定以下の場合、あらかじめ決められた金額が控除される

その他

  • 住宅借入金特別控除
    住居の購入や増築の際に組んだローンの年末残高の10%に当たる金額を所得税、住民税から減税。(上限40万円)
    1年目は確定申告が必要だが、2年目以降は年末調整での申告が可能。

控除を受けるために確定申告が必要なもの

では、次に確定申告だけで認められている控除についてみていきたいと思います。

医療費に関わるもの

  • 医療費控除
    高額の医療費を支払った場合、10万円を超える金額部分を控除。(最高で200万円まで)
    なお保険金などを受け取った場合は、支払った医療費と受けった保険金の差が10万円以上であること、が条件になります。
  • セルフメディケーション減税
    薬局等で購入した対象薬品の支払額が家族で12,000円を超えた場合に控除。
    ※医療控除とセルフメディケーション減税はどちらか片方しか利用できません。

その他

  • 寄付控除
    国への寄付金ややふるさと納税額に適応。
    なお、ふるさと納税の場合は、条件によりワンストップ特例を使って確定申告なしで控除できる場合があります。

まとめ

確定申告と年末調整を比較すると、医療費控除やふるさと納税等の寄附金控除ができる分、確定申告のほうが控除される項目が多くなりますね。

なお、実際に申告するときは、控除の項目ごとに様々な条件がありますので、国税庁の「所得から差し引かれる金額」(所得控除)などでご確認ください。