相続、皆さんはどのようなイメージを持たれていますか?
ご自身が亡くなることは考えたくない、という方も多いでしょう。

しかし、家も預金も夫の名義で妻自身の資産がほとんど無い、という場合はどうでしょう。「ずっと、この家に住み続けられるの・・?」と奥様が不安に思われているかもしれません。
できれば元気なときに話し合い、対策を考え、残されたご家族の不安を取り除きたいものです。

事前対策としていくつか方法がありますので、それぞれの特徴を見てみようと思います。
具体的には次のような内容です。

  1. 遺言書で遺産分割方法を指示
  2. 贈与の非課税枠を利用して生前に住居を送る
  3. 信託を利用

2019年1月13日以降に段階的に施行されるの民法改正により、遺言書や相続方法の選択肢が増えたものがあります。

遺言書で遺産分割方法を指示する

遺産分割の事前対策として検討されている方が多いのが、この方法かもしれません。
事前に自身の資産リストを作り、相続したい相手を指定することが出来ます。一度作成した後でも遺言書を作り直すことが出来るので、気持ちが変わってもその都度変更することができます。

なお、遺言書の作成日が民法改正前の日付の場合は、相続開始が民法改正後であっても旧法が適用されます。民法改正後の権利を行使するには、改正民法施行後に作成しなおす必要がありますので、注意が必要です。

2019年1月13日以降に施行される民法改正で変わったこと

1. 自筆証書遺言の財産目録(資産リスト)がパソコンで作成可能に

2019年1月13日施行の民法改正により、それまですべて自筆とされていた資産リストを、パソコンで作成できるようになりました。資産が変わったときに手書きで書き直すのは大変でしたが、パソコンの使用が認められるようになったことで作業の負荷が減るでしょう。

2. 配偶者居住権の新設

令和2年4月1日以降でしたら、住居に対して配偶者居住権という権利を付加できるようになります。この権利により新しい考え方での分割ができるようになります。

住居を所有権と居住権という二つの権利にわけて相続させることで、配偶者は家に住む権利を持ちながら、金融資産などの他の資産を相続しやすくなるのです。

新しい権利なので、配偶者居住権について少し詳しく書いておきます。

●配偶者居住権の特徴
令和2年4月1日以降に利用できる制度。住居を所有権と居住権を分離させて、住む権利だけを相続するもの。住居の所有権より評価額が少なくなるメリットがあり、遺産分割時に金融資産などが相続しやすくなる。ただし、配偶者の年齢や住居の耐用年数などにより、評価額は変わる。
配偶者居住権のついた住居の所有権を相続した人も評価額が下がり、相続税の減税効果が期待される。

●配偶者居住権の注意点
登記が必須。同居配偶者だけに認められた権利であり、配偶者居住権の売却・譲渡ができない。妻が死亡するまでか、決めた日で消滅するが、それ以前に放棄する場合は、所有者への贈与とみなされる可能性あり。

贈与の非課枠を利用して生前に住居を贈る

婚姻20年以上の夫婦であれば、住居用に2,000万まで非課税で贈与ができます。住居購入費用として金銭での譲渡や、資産価値として自宅を譲渡することもできます。相続時には分与財産にいれなくてよいので、遺産分割時に金融資産を相続しやすくなります。

ただし、譲渡した配偶者が先に亡くなった場合には贈与した分が相続財産になってしまうため、注意も必要です。

信託を利用する

自分の財産の管理を他の人に任せる制度です。資産の管理そのものを依頼できるので、資産の運用や活用方法など柔軟に委託することができます。信託銀行などに依頼するのが一般的ですが、依頼している間は費用がかかります。

また、家族や親族などに依頼する家族信託の場合は、費用は抑えつつ柔軟に資産を委託できます。

まとめ

それぞれの方法で、メリットもデメリットもあります。資産をどのように活用していくか、ご家族が元気なうちに話し合い、どの方法が自分や家族にとってより良いのか検討してみてはいかがでしょうか。