出産は新たな命が生まれてくる、とてもめでたいイベントです。
妊娠中、かわいいわが子が生まれてくると思うと幸せな気持ちになりますよね。

そんな出産ですが、実際はかなり費用がかかります。
どのくらいの費用がかかるのか、2021年1月に総合病院で出産を経験した筆者の実体験を交えながら解説していきます。

妊娠~出産するまでにかかる費用はどんなものがある?

妊娠してから出産するまでにかかる費用には、どんなものがあるのでしょうか?
まずは一般的にどんな費目にどのくらいのお金がかかるのか、みていきましょう。

妊婦健診・検査費用

妊婦健診と検査にかかる自己負担額はおよそ5~7万円。

妊娠すると、母子の健康状態を診るために定期的に医療機関に通います。
その際にかかってくるのが「妊婦健診・検査費用」です。

妊娠は病気ではないため、こうした健診や検査費用は健康保険が適用にならず、全額自己負担となります。

しかし負担軽減のため、自治体から妊婦健診(14回程度までの上限あり)や一部の検査について助成を受けることができるのです。
この助成を利用すると、妊婦健診1回あたりの自己負担額は3,000~5,000円程度となります。
また助成対象外の検査は5,000円~1万5,000円程度かかることが多いようです。
※金額はFPサテライト調べ

このように自己負担額に幅があるのは、医療機関によって設定金額に違いがあるのが一因です。

出産・入院費用

出産・入院にかかる自己負担額は全国平均で約4万円。

赤ちゃんを産むために医療機関に入院する際にかかってくるのが「出産・入院費用」です。
出産に関しても病気ではないため、自然分娩の場合は全額自己負担となります。
(なお帝王切開などの異常分娩の場合は健康保険が適用され、3割負担となります。)

病院・診療所・助産院など「どこで出産するか」や、日中・深夜など「いつ入院するか」
4人部屋や個室など「どの部屋に入院するか」によっても費用は変わりますが、全国の出産費用の平均は約46万円とされています(室料差額などを除く)。
(出典)厚生労働省HP>出産育児一時金について(令和2年12月)

ただ健康保険に加入している場合、出産育児一時金として子ども一人あたり全国一律42万円をもらうことができるため、46万円から42万円を差し引くと平均的な自己負担額は約4万円となります。

マタニティ用品の購入費用

マタニティ用品の購入にかかる費用の目安は3~5万円程度。

妊娠するとお腹が大きくなるため、お腹を締め付けないマタニティ用の服やお腹を支えるためのベルトなどを購入される方が多いと思います。
マタニティ用品にどのくらいのお金をかけるかは、正直なところ大きく個人差があります。
筆者の友人・知人に話を聞いたところ、3~5万円程度かけたという方が多かったため、今回は3〜5万円程度を目安とさせていただきました。

ベビー用品の購入費用

ベビー用品の購入にかかる費用は10~30万円程度。

生まれてくる赤ちゃんのためのミルクやおむつ、服や寝具などを揃えるのにかかる費用です。
こちらも非常に個人差が大きい費目となりますが、友人知人に確認したところ最低でも10万円程度かかる場合が多いようです。

総合病院で出産した場合にかかる実際の費用

筆者は2021年1月に都内の総合病院で出産を経験しています。
その際にどのくらいの費用がかかったのかご紹介します。

妊娠~出産にかかった実際の金額

総額は50万円程度でした。その内訳は以下の通りです。

妊婦健診・検査費用

健診・検査費用と合わせて約6万5,000円かかりました。
妊婦健診は全部で13回受け、自治体からの受診票を利用し1回あたりの金額は約3,000円~5,000円でした。
総合病院は診療所など他の医療機関に比べて検査費用が比較的高い傾向にあるようで、助成対象外の検査で一番高いものは1万5,000円かかりました。

出産・入院費用

総額で約31万円かかりました。
事前に調べた際に、出産費用は出産育児一時金を利用して約26万円程度の自己負担がかかると想定していましたが、結果として想定よりもプラス5万円かかりました。高くなった要因として、入院したタイミングが21時頃で割増料金になったこと、夜間からの入院でも1日分の入院費用として加算されたことが考えられます。

出産のタイミングは赤ちゃん次第になるので、コントロールできない費用です。
筆者のように高くなるケースもありますので、想定金額よりも多めにお金を用意しておくと、余裕ができていいかもしれませんね。

マタニティ用品購入費用

約3万円かかりました。
購入したものはマタニティ用の服やお腹を支えるためのベルト、ノンカフェインのお茶などです。

ベビー用品購入費用

ベビー用品の準備に約10万円ほどかかりました。
主な購入品は新生児服やミルク、おむつ、ベビー布団などです。
ベビー用品については、会社の先輩や友人から譲ってもらったものやお祝いで頂いたものもありました。
すべて自分で購入していたら、さらに10万円はかかっていたと思います。

自己負担額は都道府県によって大きく変わる

紹介した費用のなかで最も自己負担額の高い「出産・入院費用」ですが、都道府県によって自己負担額が大きく異なります。

都道府県別の平均値をみると、東京都の約54万円が最も高く、ついで茨城県の約50万円、神奈川県の約49万円となっています。一方で鳥取県や沖縄県の約34万円が最も安く、東京都と比べると約20万円の差があります(室料差額などを除く)。
(出典)厚生労働省HP>「出産育児一時金について(令和2年12月)」より「公的病院都道府県別出産費用(令和元年度)」

出産育児一時金の42万円を差し引くと、鳥取県と沖縄県の場合は自己負担額の平均が0円となるのに対し、東京の場合は平均約12万円かかると考えると大きな差ですよね。

このようにどこで出産するかによって、自己負担額も大きく変わってくるのがわかります。
里帰り出産を検討されている方は、参考にされてみてくださいね。

自己負担額軽減のために活用したいこと

妊娠~出産までにかかる費用について、実体験を交えて紹介してきました。
生まれてくるわが子のための必要な出費とはいえ、なるべく負担は少なくしたいですよね。
そのために活用できる方法を3つ紹介します。

各自治体の助成内容を確認

住んでいる自治体の助成内容をしっかり確認しましょう。
自治体によって、助成内容は様々です。

例えば、東京都ではコロナ禍における出産応援事業として、令和3年1月1日~令和5年3月31日までに子どもが生まれた世帯に対して、新生児1人当たり10万円相当の育児用品や子育て支援サービス等を提供しています。

また筆者が住んでいる区では上記の支援サービスに加えて区独自の取り組みとして、ベビー用品のカタログギフトや1万円分の子ども商品券がもらえるサービスもあります。
もし、妊娠中や妊娠希望で引っ越しを検討されている場合は、子育てに関する保障が手厚い自治体を候補に入れてみるのもいいのではないでしょうか。

医療費控除を申請

医療費控除とは、1年間にかかった医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得控除を受けられるものです。

医療費控除は下記のような妊娠・出産にかかる費用にも、申請が可能です。

  • 妊婦健診の費用
  • 分娩、入院費用
  • 赤ちゃんの入院費
  • 通院のときにかかる交通費
  • 出産に関わる緊急時のタクシー代
  • ※一部内容によって対象外となる場合があります。

    医療費控除を申請する場合には領収書が必要となります。
    妊娠・出産に関わる費用の領収書はとっておくといいでしょう。

    ベビー用品はレンタルやおさがりを検討

    ベビー用品はすぐに使えなくなるものも多いです。
    0歳のときは服のサイズもすぐに変わりますし、赤ちゃんの成長に合わせて必要になるものも変化していきます。
    一時的に使うものなら、購入するよりもレンタルの方が割安になることもあります。
    もし新品ではなくてもよければ、親戚や友人など、身近な方から不要になったベビー用品を譲ってもらうのもいいでしょう。

    まとめ

    妊娠~出産にかかる費用について、筆者の実体験を交えながらご紹介しました。
    めでたいライフイベントですが、かなり大きな出費になるのも事実です。
    予めどのくらい費用がかかるのか確認し準備をしておくと、よりハッピーな気持ちで赤ちゃんを迎えられるるのではないでしょうか。
    妊娠中の方やこれから子どもが欲しい方にとって、このコラムが少しでもお役に立てれば幸いです。