人生3大資金の1つである「老後資金」。
人生100年時代になった現代では、長すぎる老後を過ごすための資金を準備できるか不安を覚える人も多いと思います。

高齢化社会の進展と生産年齢人口の減少に伴い、公的年金制度の財源が厳しくなっています。
そのため、国は確定拠出年金やNISA(少額投資非課税制度)を拡充し、個人でも老後資金を備えやすくするために税制優遇を図っています。

今回は、老後資金としてじぶん年金作りに活用できる「個人型確定拠出年金」について個人的な意見を含め解説します。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは

個人型確定拠出年金とは、自分で作る年金制度のことです。愛称はiDeCo(イデコ)です。
加入者が毎月一定の金額(5,000円~)を定期預金・保険・投資信託などに積み立てて運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ることができます。

大きな特徴は、積立した金額すべてが所得控除の対象になることです。老後資金を貯めつつ、節税にもなるお得な制度といえます。

iDeCoの概要はこちら↓
国民年金基金連合会iDeCo公式サイト:https://www.ideco-koushiki.jp/

iDeCoは誰でも利用できる?

日本在住の20歳以上60歳未満で国民年金保険料を納めている方であれば、原則誰でも始めることが可能です。また2020年5月からは、国民年金被保険者であれば65歳までiDeCoに加入することができるようになりました。

これまでは、企業型確定拠出年金に加入されている会社員の方は、iDeCoの利用ができませんでした。
しかし、2020年10月からは、企業型確定拠出年金のマッチング拠出を利用していない企業にお勤めの方であれば、iDeCoに加入できるようになっています。

今後の税制改正で利用条件が変わる可能性はありますが、より多くの方が利用できる制度となっています。

iDeCoのメリット

iDeCoのメリットは、節税効果と老後資金準備が半強制的にできる点です。

メリット1:積み立てた時に税金(所得税・住民税)が安くなる
メリット2:運用で利益が出た時に税金が安くなる
メリット3:積立てた年金の受け取り方次第で、税負担が軽減される

iDeCoに加入した場合、どの程度税金が安くなるかシミュレーションができます。ぜひ計算してみましょう!

iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」

iDeCoのデメリット

iDeCoのデメリットは、60歳になるまで引き出せないことと、専用口座の開設・維持に手数料がかかることです。

デメリット1:60歳になるまで引き出せない
デメリット2:iDeCO専用口座の開設・維持に手数料がかかる
デメリット3:お金を受け取るタイミングで税金がかかる場合がある

60歳になるまでお金を引き出せないので、積み立て金額は手元資金や60歳前に発生するライフイベントも考慮して決めましょう。

このデメリットは裏を返せば、老後資金を半強制的に貯めることができるのでメリットとも言えます。

iDeCoの始め方

iDeCoを始めるには、専用口座を開設する必要があります。

専用口座を開設できる金融機関としては、

  • 銀行
  • 証券会社
  • 運用会社
  • 保険会社
    などがあります。

金融機関によって、口座管理手数料や運用できる金融商品が異なりますので注意が必要です。iDeCoは60歳までの長期運用になりますので、月々のコストは小さくても塵も積もれば大きな金額になります。金融機関選びは慎重に行いましょう。

特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会が運営している「iDeCoナビ」では、取扱金融機関の比較ができます。一覧も見やすく比較しやすいので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

運用商品の選び方

iDeCoの運用商品は「元本確保型」と「元本変動型」の2種類で構成されています。

元本確保型は、元本が確保されている「定期預金」や「保険」などが該当します。運用に回したお金が原則元本割れになることはありませんが、現在のような低金利の状況が続くと思ったより増えない可能性があります。

元本変動型は、元本が変動する「投資信託」で、運用成績次第で元本が増えたり減ったりします。
iDeCoの加入から60歳までの期間が長く、生活防衛資金としての現金の備えがある方は、運用結果次第では「運用で利益が出た時に税金が安くなる」メリットを有効に使え、老後資金も増やせる可能性がある投資信託で運用するのが個人的にはお勧めです。

ただし、投資対象の相場の上下がありますので、必ず資金を増やせるとは限りません。ご自身の精神的・金銭的リスク許容度に合った運用をしましょう。

金融商品と運用比率は自分で選ぶことができ、途中で比率を変更することも可能です。最初は預金比率を多めにして、運用に慣れてきたら投資信託の比率を高くするなど、工夫するのも良いですね。

iDeCoのお金の受け取り方

iDeCoで積み立てたお金は、60歳以降に一括、または年金方式で分割して受け取ることができます(50歳以降にiDeCoを開始した場合は、通算加入者等期間によって受給開始年齢が異なります)。

万が一60歳より前に高度障害になった場合や、死亡した場合にはその時点で受け取ることが可能です。死亡した場合は、遺族が受け取ることになります。

まとめ

人生100年時代に合わせて、働ける期間も今後も延びていくことが予想されます。しかし、体力等を鑑みると現役時代と同じように稼ぐことは難しいですよね。

私もiDeCoを始めて3年近くなりますが、「将来の自分は、今の自分が支える」という意識をもって毎月粛々と積み立てをしているので、老後に対して少し不安が和らいでいます。相場は日々上がり下がりを繰り返していますが、今後も相場の動きに一喜一憂せずにのんびり積み立てをしていくつもりです。

じぶん年金作りに、iDeCoは有効に使える制度ですので、まだの方は活用を検討してみてはいかがでしょうか。