物価上昇が気になる昨今、格安スマホが気になっているけど、今更変えるのもなんだか不安……。
そんな人に読んで欲しい【元エンジニアFPが解説するスマホ乗り換えのキホン!】シリーズ。元ネットワークエンジニアのFPが格安スマホ乗り換えを考えるときに知っておいて欲しいことを紹介していきます。

今回は、スマホ乗り換えのキーワードになる「ギガ」と、通信費の関係を解説します。

そもそも「ギガ」ってなに?

スマホの通信プランで目にする「ギガ」。この「ギガ」の正体は、単位の位の大きさを表す「G」という記号です。「G」の読み方が「ギガ」で、10の9乗、つまり1,000,000,000という位を表しています。

なお、スマホなどの料金プランではデータ量を表す単位の「B」を付けるのが正式ですが、単位を省略した読み方の「ギガ」という表現が定着しています。

スマホの通信プランで使う2つの「ギガ」

スマホのプランを考えるときに2種類の「ギガ」があります。

通信費が決まる?「ギガ」

通信プランに書かれている「ギガ」で、1ヶ月にやり取りできるデータ量のことです。正確には「GB」という単位を使います。

「ギガ(GB)」は通信を物流に例えると、倉庫の大きさ

通信は見えないので、目に見える物流に例えて解説します。

やり取りするデータ量を商品数、通信プランの「ギガ(GB)」を倉庫の大きさ、通信費を倉庫のレンタル料だとします。倉庫が小さいと保管できる商品数は少なく、倉庫が大きいと多くの商品を保管することができますね。

そして、倉庫が大きくなるに従い、レンタル料が高くなるとしましょう。レンタル料を適正にするには、取り扱う商品の量と倉庫の大きさを合わせることが大切ですね。

図1 通信を物流に例えた場合の1ヶ月の使用データ量

「ギガ(GB)」と通信費の関係

物流の例えのように、一般的に「ギガ(GB)」が大きくなると通信費が高くなります。ですから、1ヶ月に通信する分だけ「ギガ(GB)」を契約するのがコストとのバランスがよい方法です。

なお、通信プランに書かれている「○○ギガ」(○○は数字)を超えてしまっても、通信ができなくなるわけではありません。一般的に2つの方法があり、1つは「オプション料金を払ってデータ量を増やす」という契約で、この場合は1ヶ月に使用したデータ量が多い月の通信費は増えていきます。物流の例えでいうと、最初に借りた倉庫が一杯になったので、追加で倉庫を借りるイメージです。

2つ目は、通信プランのデータ量を超えると通信速度が遅くなる契約です。この場合、通信費は一定ですが、プランのデータ量を超えると極端に通信が遅くなります。この仕組みは、次の『通信の安定性が決まる?「ギガ」』の章に関りがありますので、そちらで解説します。

通信の安定性が決まる?「ギガ」

通信プランの詳細説明に書かれている「ギガ」で、一定時間にやり取りできるデータ量の最大値のことです。これを最大通信速度と言い、「Gbps」という単位で表します。

この数字が大きいと短時間で大きなデータのやり取りができます。なお、通信プランの範囲内で使用している場合は、通信会社による差はほとんどありません。ただし、極端に通信費が安いプランでは、一定時間にやり取りできるデータ量を少なくしているケースもあります。

「ギガ(Gbps)」は通信を物流に例えると、1回の配送量

先ほどと同じように物流に例えて解説します。

安定性が決まる「ギガ(Gbps)」を、1回の配送量だとします。1回の配送量が多いとまとめて多くの商品を配送できますが、1回の配送量が少ないとまとめて送れる量に限りがありますね。多くの商品が必要な場合は、何度も配送することになるでしょう。

なお、前章の「通信プランのデータ量を超えると通信速度が遅くなる契約」は、レンタルしている倉庫が商品で一杯になるまでは配送量の多い方法を利用し、倉庫が一杯になると配送量が少ない方法を利用するイメージです。

図2 通信を物流に例えた場合の最大通信速度

「ギガ(Gbps)」と安定性の関係

1ヶ月のデータ量が通信プランで契約した「ギガ(GB)」を超え、一定時間にやり取りできるデータ量に制限がかかると、通信が遅くなります。通信が遅くなると、データのやり取りに時間がかかったり、インターネットの接続が不安定になったりする場合があります。

どの程度遅くなるかは契約によって変わりますが、「ギガ(Gbps)」の1/1000である「メガ(Mbps)」や、さらにその1/1000の「キロ(kbps)」という単位の最大通信速度に絞り込まれます。「キロ(kbps)」レベルになると、文章のやり取りはある程度可能ですが、動画や画像のやり取りにストレスを感じる速度だと言われています。

「ギガ(GB)」を変えるとスマホの通信費は安くなる?

スマホの通信費は「ギガ(GB)」が大きくなるにしたがって、費用が高くなるのが一般的です。しかし、通信会社やブランドよって、選択できる「ギガ(GB)」が決まっていたり、「ギガ(GB)」が同じでも通信費が変わったりします。

ここでは、通信会社を次のように3つに分類して比較してみましょう。

分類名特徴
大手スマホの通信システムを自社で運営している企業
サブブランド大手自身や大手の関連企業が提供するブランドメインブランドより安価なプランを提供
格安スマホスマホの通信システムを大手から借りてサービスを提供する企業
表1 本記事での通信会社やブランドの種類分け

表1の分類で通信プランの契約データ量の「ギガ(GB)」と1ヶ月の通信費の関係をグラフで表すと、次のようになります。なお、通信プランの契約データ量が100GB以上のプランをまとめて「100~」としました。そのため、無制限も「100~」に含まれます。また、執筆時に確認できたプランで作成したため、すべての通信プランが反映されているわけではありません。

図3 通信プランの契約データ量と通信費
FPサテライト(株)調べ(2025年4月現在、割引適用がない場合)

グラフを見ると、大手は数GBまでのプランと無制限のプランが主流です。数GB以下のプランは3,000円~6,000円程度が中心ですが、それを超えると、データ量無制限7,000円以上のプランが主流になります。

サブブランドのプランは、通信費が2,000円~4,000円、データ量35GBまでの範囲が中心です。データ量の変化に伴う通信費の差は、大手や格安スマホより少なめです。

格安スマホのプランは、プランのデータ量が多くなると通信費も高くなる傾向があります。ただ、全体的に通信費が抑えられており、通信費10GB、通信費2,000以下のプランが多く、50GBを超えても5,000円程度です。

なお、グラフではサブブランドの方が少し通信費が高めですが、割引が適用されると格安スマホ並みの通信費になるケースもあります。

「ギガ(GB)」はスマホ見直し時のキーポイントの1つ

スマホの通信費は1ヶ月に通信するデータ量によって変わります。そのため、「ギガ(GB)」はスマホ通信プランの見直し時のキーポイントの1つになります。

適正な通信費のプランを選ぶには、普段使用しているデータ量に合わせて選ぶことが大切です。また、実際にスマホの通信費を見直すときには、プランの契約データ量を超えたときに追加料金を払うのか、低速で通信するかを考慮したり、割引が適用されるかどうかなども検討したりすると、より自分に合ったプランを探すことができます。