エンディングノートは、自分に万一のことがあったとき、家族やパートナーが困らないよう、伝えておきたい情報や希望をあらかじめ整理しておくためのノートです。

遺言書とは役割が異なり、法的効力はありませんが、もしものときの家族の負担を減らし、必要な情報をわかりやすく残すのに役立ちます。 

一方で、エンディングノートには決まった書式がないため、何を書けばよいのか、どこまで書けばよいのか迷いやすい面もあるでしょう。

この記事では、エンディングノートに書いておきたい主な項目や書き方を中心に、エンディングノートの役割やメリット、書くときの注意点まで詳しく解説します。 

エンディングノートの書き方

エンディングノートの形式は自由ですが、必要な項目をある程度押さえておくと書き進めやすくなるでしょう。

ここでは、項目別にエンディングノートの書き方を解説します。

1.自分の基本情報

最初に、自分自身の基本情報を書いておきましょう。

エンディングノートに記載することの例
  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 電話番号
  • 本籍地
  • マイナンバーカードや運転免許証などの保管場所や番号
  • 勤務先または退職した会社の情報
  • かかりつけ医・かかりつけ薬局
  • 持病・既往歴・アレルギー
  • 服用中の薬、お薬手帳の保管場所 など

氏名や本籍地は本人確認や相続手続きの際に役立ちます。医療情報もまとめておくと、緊急時に必要な情報を医師などに伝えることができます。

マイナンバーカードの番号などを記入する場合は、エンディングノートの保管方法に十分注意しましょう。

2.家族・親族・緊急連絡先

家族や親族、親しい人の連絡先も整理しておきましょう。

エンディングノートに記載することの例
  • 配偶者の氏名・続柄・電話番号・住所
  • 子どもの氏名・続柄・電話番号・住所
  • 兄弟姉妹・親族の氏名・続柄・電話番号・住所
  • とくに連絡してほしい人
  • 連絡してほしくない人がいる場合はその旨
  • 家族以外で連絡が必要な友人・知人 など

連絡先だけでなく、誰に連絡してほしいか(またはしてほしくない)といった希望まで書いておくと、もしものときに家族が動きやすくなります。

3.医療・介護の希望

急病や事故などで自分の意思を伝えられなくなるような事態に備え、医療や介護に関する希望も書けるとよいでしょう。

エンディングノートに記載することの例
  • 入院したときに連絡してほしい人
  • 看護・介護をお願いしたい人
  • 延命治療についての考え
  • 介護が必要になった場合に希望する場所(自宅・施設など)
  • 介護費用をどのようにまかなってほしいか など

たとえば「終末期はできるだけ自宅で過ごしたい」「治療方針は家族と医師で相談して決めてほしい」のように現時点の考えをひとこと書いておくだけでも、家族が判断を求められた際の参考になります。

4.財産・保険・年金・負債の情報

資産や負債の状況は、相続手続きにも関わる情報です。現時点での資産の棚卸しも兼ねて、整理しておきましょう。

エンディングノートに記載することの例
  • 預貯金口座
    • 金融機関名
    • 支店名
    • 口座の種類
    • 通帳やキャッシュカードの保管場所
  • 保険
    • 保険会社名
    • 保険の種類(生命保険、火災保険など)
    • 証券番号
    • 問い合わせ先
    • 保険証券の保管場所
  • 年金
    • 加入している年金の種類
    • 年金手帳・基礎年金番号通知書などの保管場所
  • 不動産
    • 所在地
    • 関係書類の保管場所
  • 負債
    • 住宅ローン、カードローン、自動車ローンなど
    • 契約先
    • 関係書類の保管場所
  • そのほか確認しておきたいもの
    • クレジットカード
    • 電子マネー
    • 口座自動引き落としになっている支払い
    • 貸金庫や会員権など、相続時に確認が必要な資産や契約 など

資産状況は変わりやすいため、金額を細かく記す必要はありません。それよりも、どこに何があるか、もしものときはどこに連絡すればよいかがわかる情報を書くことが大切です。

また、借入れがある場合も、その内容を残しておくとよいでしょう。

5.葬儀・お墓についての考え

葬儀やお墓については、希望だけでなく、すでに決まっていることも含めて残しておくのがポイントです。

エンディングノートに記載することの例
  • 葬儀について
    • 希望する形式(一般葬・家族葬・火葬のみ など)
    • 希望する規模
    • 宗教・宗派で配慮してほしいこと
    • 参列してほしい人
    • 連絡してほしい人・控えてほしい人
    • 事前見積もりや事前予約の有無
  • お墓について
    • お墓は用意しているか
    • 菩提寺や付き合いのある寺院の有無
    • 宗派など方針として決まっていること
    • 承継者について伝えておきたいこと など

葬儀やお墓に関する費用の準備がある場合は、あわせて残しておくとよいでしょう。

6.遺言書の有無と保管場所

遺言書を作成している場合は、その存在と保管場所がわかるようにしておきましょう。

エンディングノートに記載することの例
  • 遺言書の有無
  • 作成している場合の形式(自筆証書遺言・公正証書遺言など)
  • 保管場所(関連書類も含む)
  • 遺言執行者を定めている場合はその情報 など

エンディングノートには、遺言書の内容まで詳しく書く必要はありません。

なお、内容によっては遺言書だけでなく、任意後見契約や死後事務委任契約などの準備が必要となる場合もあります。必要に応じて、専門家へ相談しながら整理していけるとよいでしょう。

7.契約中のサービス・デジタル情報

近年は、金融機関や保険だけでなく、スマートフォンやネットサービスに関する情報も整理しておく必要があります。たとえば、以下のようなものが挙げられます。

エンディングノートに記載することの例
  • 携帯電話会社
  • インターネット回線
  • 動画・音楽配信サービス
  • 通販サイト(定期購入なども含む)
  • SNSアカウント
  • ネット銀行・ネット証券
  • スマートフォン・パソコンの利用状況
  • IDの管理方法
  • 解約や停止が必要になりそうな契約
  • 端末をどう扱ってほしいか など

とくに月額料金が発生する契約は、解約が遅れると支払いが続くため、家族が確認しやすいようにしておくとよいでしょう。

なお、パスワードや暗証番号そのものは、紛失や盗み見による悪用のおそれがあるため、エンディングノートに書くかどうかも含めて慎重に判断しましょう。

8.ペットの情報

ペットと暮らしている場合は、自分が入院したり亡くなったりしたときに備えて、世話を引き継ぐ人や必要な情報についても忘れずにまとめておきましょう。

エンディングノートに記載することの例
  • ペットの種類・名前・年齢
  • かかりつけの動物病院
  • 服用中の薬
  • 食事の内容
  • アレルギーの有無
  • 普段の生活で気をつけていること
  • 世話をお願いしたい人
  • 緊急時の預け先候補
  • 万一のときにどうしてほしいか など

なお法律上、ペットは動産として扱われるため、ペット自身が遺産を相続することはできません。世話を誰かに託したい場合は、世話をすることを条件に財産を渡す「負担付遺贈」を検討する方法もあります。

ただし、遺贈は相手が放棄することもできるため、実際に託したい場合は事前の承諾を得たうえで、必要に応じて専門家へ相談すると安心です。

9.家族や大切な人へのメッセージ

最後に、家族や大切な人へのメッセージを書いておくのもよいでしょう。

エンディングノートに記載することの例
  • 配偶者、子ども、親族へのメッセージ
  • 介護をお願いするときに伝えたいこと
  • 葬儀や相続で家族にもめてほしくないという思い
  • 感謝の言葉 など

長い文章である必要はありません。短い言葉でも、本人の気持ちが残っていることに意味があります。

エンディングノートとは?

エンディングノートとは、自分に万一のことがあった場合に備えて、家族やパートナーに伝えておきたい情報や希望をまとめておくためのノートです。

ここでは、エンディングノートの役割や遺言書との違いについて解説します。

エンディングノートの役割

自分に万一のことがあった際に、エンディングノートは以下のような役割を果たしてくれます。

  • 家族が必要な情報を確認できる
  • 自分の気持ちや希望を家族に伝えられる


たとえば、銀行口座や保険契約、かかりつけ医、緊急連絡先といった情報は、いざというときに家族がすぐに確認できれば、必要な手続きなどをスムーズに進められるでしょう。

また、エンディングノートには、自分の考えや希望も書き残すことができます。たとえば、「延命治療についてどう考えているか」「認知機能の低下などで自分の意思を伝えられなくなったとき、どのように対応してほしいか」というような内容です。

エンディングノートには、いざというときに家族が判断に迷いやすいことについて、あらかじめ本人の希望を書いておくことができます。

遺言書との違い

遺言書は、主に本人の死後、財産(遺産)の分け方について意思を残すための文書です。一定の要件を満たして作成することで法的効力を持ち、相続手続きにおいて重要な役割を果たします。

一方で、エンディングノートには法的効力はありません。

そのため、たとえば「預貯金を誰にどれだけ渡すか」「不動産を誰に相続させるか」といった内容は、エンディングノートに記しても法的には優先されるものではありません。遺産の配分について正式に意思を残したい場合は、遺言書の作成を検討する必要があります。

遺言書には書きにくい内容や、法的な文書にする必要まではない内容を残せるのが、エンディングノートの特徴です。

遺言書は法的に意思を残すための文書、エンディングノートは家族のために情報や希望を整理して伝えるためのノートと考え、必要に応じて役割を分けて活用することが大切です。

エンディングノートは何歳から書く?

法的効力を持つ遺言書には「満15歳以上」という決まりがありますが、エンディングノートを書き始める年齢については、とくに決まりはありません。

「終活を意識する年齢になったら……」というのも、ひとつの節目にはなりますが、急な病気や事故などに備える意味では、年齢は関係ないといえます。

一度書いたら書き直しができないというものではありませんので、難しく考えすぎず、記入しやすい項目から始めるとよいでしょう。

なお、いつ書いた内容かがひと目でわかるように、記入日をあわせて書き留めておくことをおすすめします。

エンディングノートを書くメリット

エンディングノートは、万一のときに備えるためのものというイメージが強いかもしれません。しかし実際には、今の暮らしやこれからの備えを見直すきっかけになるという点も大きなメリットです。

ここでは、エンディングノートを書くことで得られる主なメリットを3つ紹介します。

メリット1.自分の気持ちや希望を整理できる

エンディングノートを書くメリットのひとつは、自分の考えや希望を言葉にして整理できることです。

たとえば、病気などで自分の意思を伝えられない状態になったとき、治療方針について家族に判断を求められることがあります。延命治療については、どのような決断であっても、家族にとって大きな心理的負担を伴うでしょう。このとき、本人の意思をもとに下した判断であれば、家族もその決断を受け止めやすくなるのではないでしょうか。

また亡くなったあとも、葬儀の形式や規模、お墓についても、本人の希望がわからなければ残された家族が抱える問題になります。

こうした希望について、自分では考えているつもりでも、実際に書こうとすると気持ちがまとまっていないことに気づく場合もあります。エンディングノートに書き出すことで、自分が大切にしたいことや、家族に伝えておきたいことが整理されます。

また、書く過程そのものが、老後の暮らし方や今後の備えを見直すきっかけにもなるでしょう。

メリット2.家族の手続き負担を減らせる

もしものとき、家族は気持ちの整理がつかないまま、親族や関係先への連絡、相続を含む各種手続きに対応しなければなりません。

エンディングノートに必要な情報をまとめておけば、万一のときに家族が確認すべき情報の手がかりとして役立ちます。あわせて本人の希望も残しておくことで、家族が何らかの判断をするときの参考にもなるでしょう。

メリット3.資産や契約の棚卸しができる

エンディングノートを書くことで、資産や契約などを整理するきっかけになる点もメリットです。

ここでいう「資産や契約」には、銀行口座や証券口座、保険、年金、不動産、借入れの有無のほか、スマートフォンやネット回線、サブスクリプションサービス、SNSなども含まれます。なかには相続に関わる契約や、月額料金がかかる契約もあるでしょう。万一の際に、残された家族がこうした情報をまとめて確認できると、やるべきことが把握しやすくなります。

また、資産や契約の情報をエンディングノートにまとめることで、いま持っている資産や契約を見直す機会にもなるでしょう。

エンディングノートを書くときの注意点

エンディングノートは自由に書ける一方で、書き方によっては内容が伝わりにくくなったり、書いたあとの管理で困ったりすることもあります。

ここでは、エンディングノートを書くときの注意点を解説します。

1.抽象的な表現を避ける

エンディングノートには法的効力がないため、書いた内容が家族に正しく伝わることが大切です。そのため、明確な希望や考えがある場合は、できるだけ具体的に書くことを意識しましょう。

たとえば葬儀に関する希望を書く際、遺族に負担をかけたくないとの想いで「簡単に済ませてほしい」といった書き方をすることがあるでしょう。しかし、「簡単に」の受け取り方は人によって異なります。「家族葬を希望する」「費用は○○銀行の預金からまかなえる分を目安に」のように、誰が読んでも意味が伝わる形で残しておくほうが実用的です。

2.書いた内容は定期的に見直す

エンディングノートに書く内容は、時間の経過とともに変わることがあるため、定期的に見直すことが大切です。

たとえば、引っ越しや契約の変更があったとき、家族状況に変化があったときのほか、医療や介護に対する考えが変わったときなども見直しのタイミングになります。誕生月や年末年始など、自分なりに見直しタイミングの目安を決めておくのもよいでしょう。

エンディングノートは、書き直しができるものです。最初から完璧に仕上げようとせず、まずは書けるところから始めて、必要に応じて更新していく前提で使うとよいでしょう。 

3.保管場所と共有のしかたを考えておく

エンディングノートには、個人情報や資産情報、私的なメッセージなどが含まれるため、記入後の取扱いには注意が必要です。また、暗証番号やパスワードなど、悪用されるおそれのある情報を記載する場合は、とくに慎重に扱う必要があります。

誰でも見られる場所に置くのではなく、信頼できる家族だけが確認できる形で保管しておくとよいでしょう。

ただし、必要なときに見つけてもらえなければ、エンディングノートの本来の役割が果たせないため、ノートの存在や保管場所は、家族や親族など信頼できる人にだけ伝えておくとよいでしょう。 

エンディングノートの入手方法

エンディングノートは自治体などが配布している無料テンプレートもあれば、市販品も多数出回っています。また、ノートやWordなどで自作することもできます。

エンディングノートの書き方に制限はないため、無理なく書き始められそうなものを探してみるとよいでしょう。

無料のテンプレート

費用をかけずに始めたい場合は、無料テンプレートを使うとよいでしょう。
自治体などが配布しているエンディングノートには、基本情報や連絡先、医療・介護、財産、葬儀の希望などを記入できる形式のものがあり、PDFで公開されている例もあります。

無料テンプレートは印刷して使えるものが多く、必要な項目を一通り確認したい人にもおすすめです。

市販のエンディングノート

必ずしも「エンディングノート」という名称であるとは限らず、「終活ノート」や「自分ノート」など、さまざまな種類の市販品が販売されています。実際に手に取って、自分に合ったノートを探してみてはいかがでしょうか。

市販のエンディングノートは、「基本情報」「医療・介護」「財産」「葬儀・お墓」など、必要な項目があらかじめ記載されているのが特徴です。自分の書きたい項目や書けそうな項目から、無理なく書き進められるでしょう。

FPサテライトが執筆・監修を担当した「もしもに備えるエンディングノート(大創出版)」は、全国のダイソー店舗またはダイソーネットストアで購入可能です。ぜひご活用ください。

大創出版「もしもに備えるエンディングノート」の執筆・監修を行いました | FPサテライト株式会社

自作のエンディングノートを活用するのも◎

市販品や無料テンプレートが合わない場合は、一般のノートやWordなどを使って手作りすることもできます。自作のエンディングノートは、必要な項目だけをピックアップしてまとめられる点が特徴です。

決まった形式だと逆に書きにくいと感じる人や、更新のしやすさを重視したい人には、自作ノートのほうが合うこともあるでしょう。

ただし自由度が高いぶん、項目の抜け漏れが起きやすい点には注意が必要です。無料テンプレートや市販品の項目を参考にしながら、自分に合う形に調整するとよいでしょう。

まとめ

エンディングノートは、自分にもしものことがあったときの希望や、家族が必要とする情報をまとめておくのに役立ちます。
最初から完璧に仕上げようとせず、まずは書ける項目から少しずつ始めるとよいでしょう。

またエンディングノートは、これまでの人生を振り返ったり、今後のライフプランを考えたりするきっかけにもなります。一度書いて終わりではないため、必要に応じて内容を見直していくことが大切です。

エンディングノートについて知った“いま”から、さっそく書き始めてみてはいかがでしょうか。