住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、一定の条件を満たすと税金の控除が受けられます。住宅ローン控除は税制上のメリットが大きい制度ですが、法改正によって利用できる条件が変わるため、最新の制度について確認しておくことが重要です。

2024年度の税制改正でも、住宅ローン控除の内容が改正され、住宅の性能に応じて、控除の適用有無や借り入れ限度額などに変更がありました。

この記事では、2024年度の住宅ローン控除の概要や税制改正のポイント、利用する場合の適用条件について解説します。

住宅ローン控除(減税)とは?

住宅ローン控除(減税)は、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。住宅ローンを借り入れて住宅を新築・取得・増改築などをした場合に、毎年年末の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除できる制度です。
なお、所得税から控除しきれない分は、翌年の住民税から控除されます。

2024年からの住宅ローン控除は、以下のとおりです。

今までとどう変わった?2024年度の改正ポイント

2024年から住宅ローン控除の制度で大きな変化がありました。おもなポイントは次の3つです。

  • 省エネ基準を満たさない新築住宅は住宅ローン控除の対象外
  • 子育て世帯・若者世帯以外は住宅ローン控除額が縮小
  • 床面積要件(40㎡以上)の緩和が継続

詳しく説明していきます。

省エネ基準を満たさない新築住宅は住宅ローン控除の対象外

2024年から新築住宅のうち省エネ基準を満たさないものは原則住宅ローン控除の適用対象外となりました。

ただし、2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅または2024年6月30日以前に建築された住宅に、2024年以降入居した場合に限り控除を受けることができます。その場合の借入限度額は2,000万円、控除期間は10年です。

子育て世帯・若者世帯以外は住宅ローン控除額が縮小

新築住宅および買取再販住宅における借入限度額は縮小、その一方で、子育て世帯・若者夫婦世帯の借入限度額は2023年度の限度額がそのまま適用となっています。

子育て世帯とは19歳未満の子どもがいる世帯、若者夫婦世帯とは夫婦のうちいずれかが40歳未満の世帯です。

ただし、子育て世帯・若者夫婦世帯であっても、省エネ基準を満たしていない新築住宅は住宅ローン控除を利用することができません。また、2025年以降も同様の控除を継続する方向で検討が進められています。今度の動向にも注目していきましょう。

床面積要件(40㎡以上)の緩和が継続

住宅ローン控除の適用を受けるには、省エネ基準であることのほかに下記の条件をいずれも満たす必要があります。

  • 自ら居住する家屋であること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 住宅の引き渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に入居していること
  • 店舗等併用住宅の場合は、床面積の2分の1以上が居住用であること
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上あること

このうち、「床面積が50㎡以上であること」について、合計所得金額1,000万円以下の人が住宅ローンを利用する場合は、新築住宅に限り「40㎡以上」と緩和される特例措置が設けられていました。
当初この特例は2023年末までとされていましたが、2024年末まで延長されます。

住宅ローン控除を受けるには確定申告や年末調整が必要

住宅ローン控除を受けるには、上記の適用要件を満たすだけではなく、確定申告や年末調整を行う必要があります。住宅ローン1年目は、確定申告をしなければ住宅ローン控除の適用になりません。

1年目だけは年末調整では手続きできないため申告期限内に忘れないように手続きをしましょう。確定申告は、入居した年の翌年2月16日から3月15日までの間が申告期限になります。

確定申告2年目以降は、会社員などの給与所得者であれば年末調整で手続きが可能です。ただし、会社員以外の個人事業主やフリーランスの方など年末調整がない方は、1年目と同様に確定申告が必要です。

まとめ

住宅ローン控除は、年末時の住宅ローン残高に応じて所得税や住民税が控除される制度です。住宅ローンの返済は家計の中でも大きな割合を占めるもの。控除を利用できれば、その家計の負担は大きく軽減されます。住宅ローン控除のしくみや要件を理解し、制度をうまく活用していきましょう。